この隙間、僕の存在。
Ⅰ 実感
「ねぇ、俺もう戻れねえの?」

俺はまだ今の状況がはっきりとつかめず、つい戸惑った声を出す。

「当り前です」

でも。

「そんな……。じゃ、じゃぁちょっと見てくるだけってのはっ!?」

でも、1つだけ。

「何をですか」

1つだけはっきりとわかるのは。

「俺の親友、2人をだよ」




「……しょうがないですね。そのかわり貴方の身体は誰にも見えませんよ?」

「おぉ」

「話すことも、触れることも不可能」

「おぉ」

「ただ、見るだけ。本当にそれしかできませんよ?」

「分かったよ。それで十分だ」





俺、死んだんだ。



< 2 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop