1970年の亡霊
 今日は月曜日だ。週末まで日がある。気は逸るが、致し方無い。とにかく取っ掛かりは掴めた。

 迷彩服姿の自衛官達を横目で睨み、まだあちこち暴動の爪痕が残る街並みを歩いていたら、ケータイのバイブが震えた。

 着信を確認すると、三山の名前がスクロールされていた。

「よう、どうした?」

(加藤さん、今どこですか?)

「新宿だが、何かあったか?」

(その様子だと、まだ知らされてないようですね)

「ん?何の事だ?」

(今日付けで、加藤さん私の捜査員になりましたから)

「はあ?俺がパソコンをかちゃかちゃ弄るのか?そんな事よりも、俺は今千葉県警の管轄だぜ?」

(本庁から既に館山署には連絡が行ってます。加藤さんは鉄砲玉だから、署の方も連絡が遅れているのでしょう)

「鉄砲玉は当たっているな。俺の休暇をチャラにしたのはあんたか?」

(頼みはしたけど、手代木局長が手を回してくれたようです)

「まあ、どっちでもいいが、俺は外回りしか脳がねえぜ」

(ええ。判っています。加藤さんは私の遊軍ですから)

 本庁へ戻れるのは都合がいい。捜査協力を頼まれた柏原とも連絡が密に出来る。

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