1970年の亡霊
 草間の班が突入した出入り口の右側は廊下が一直線に伸びていた。その左側が教室で、右側が校庭に面した窓。

 目の前には階段がある。

「草間です、隊長、敵の攻撃は何階からですか?」

 深見からの応答が無い。再度インカムで交信を試みたが、聞こえて来るのは雑音交じりの銃声だけであった。

 彼は自分の判断で上の階へ突入する事に決めた。この校舎は四階建てだ。一味が一体何人居るか判らないが、常識的に考えれば上の階から侵入者を防ぐ為に狙撃する筈だ。

「一気に上まで駆け上がるぞ!」

 部下達が頷くと、草間は自ら先に立って階段を駆け上った。

 各階の踊り場毎に、そのフロアを見渡す。時折外からの銃弾が教室を突き抜けて廊下の窓ガラスを破壊した。

 草間達が最上階まで駆け上がった時、突如として校庭側から眩いばかりに強烈な光が射し込んで来た。

 連続する射撃音に混じり、ヘリコプターのローター音が聞こえた。

 一瞬、草間はSATの所有するヘリが飛来して来たのだと思った。

 彼は自らの所在を知らせる為に、一番手前の窓から顔を半分覗かせた。

 突然、大音響とともに窓が壁ごと破壊された。断続的に起こる爆発音は、草間が初めて経験するものであった。

 幸い部下達は無事だ。自分も怪我は無い。

 数十秒間続いた破壊音の後に、ヘリの爆音が幾つも重なった。

 破壊されて出来た壁の穴から射し込む光の中に、迷彩服を身に纏った無数の人間達の姿を見た。


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