花の名


「ごめんね、千尋ちゃん?」


まぶしい笑顔をあたしに向ける彼女を見て、あたしもつられて笑った。


なんとなく雰囲気が彼に似ている気がする。


「大丈夫だよ」


「千尋ちゃん、優しい~」


ガバッとあたしに抱きついてくる。


一瞬驚いたけど、すぐに打ち解けていった。


「あっ、お母さんが圭吾に用があるから仕事の前に来てだって」

「わざわざサンキュー」


家ぐるみで仲良いとかかな。


それにしても、仲良いな…。


別れても、こんな風に出来るんだな。




チクン……




まただ。

胸がモヤモヤする。


なんでだろう。


あの二人を見てると、嫌な気分になる。




……見たくない。






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