花の名




「嬉しい。ありがとう」


「あっ、えと」




初めてのことで、あたしはあたふた。

そんなあたしを見ながら、彼はクスクス笑っている。


恥ずかしくて俯いたあたしの耳元で、




「好きだよ」




優しく彼の声が響いた。




ドキン……




ゆっくりと開き始めていた花が咲いた。


好きだよって、あふれてくるみたいに。




きっとこの花の名前は


あたしだけが知る特別な花一一






fin






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