ベクトル→
→②
キーンコーンカーンコーン……
1限終わりのチャイムが鳴り、私は即座にムクッと起き上がり席を立った。
だって、ここにいたらかすみちゃんや他の女子の皆さんに囲まれちゃうもん。
しかし、その私の考えも虚しく、私の左手首はかすみちゃんに捕まっていた。
「なーに逃げようとしてるのかなぁ、しーい?」
ひぇぇぇぇ!!恐っっ!
笑顔が超不気味だよー!(←失礼)
「逃げるだなんてそんな…。トイレに行こうとしてただけですよー…。」
精一杯の笑顔(たぶん引きつってる)で言うが、かすみちゃんは私の左手首を離してはくれなかった。
「はい、座る!みんな、椎が座ったよー!!」
恐い顔で言われたので素直に座ると、かすみちゃんは女子の皆さんを呼んだ。
いや、呼ばなくてよくね?!
「で、ベクトル女の椎さん。槇くんは次のターゲットなの?」
かすみちゃんは私にそう聞く。
その言い方やめましょうよ…。誰もツッコまないけどさぁ…。
「だから、絶対好きにならないって言ったじゃん。」
私がはっきりキッパリ言うと、かすみちゃんを除く女子の皆さんは「おー」だとか「じゃあ私狙っちゃおー」だとか言って、私の席から離れて行った。
ふー、やっと解放された…。
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