ベクトル→
→③
家に帰ると、お姉ちゃんの唯(ゆい)ちゃんがいた。
唯ちゃんは東京の大学に通っていて、今2回生なんだ。
だから、私とは4歳違い。
私と違って、唯ちゃんはすごく美人で頼りになるお姉ちゃんなの。
「おかえりー、椎!やーん、相変わらずかわいー!!」
唯ちゃんはこうやって私をかわいがってくれるの。
私は唯ちゃんだーいすき!
「唯ちゃん、今日はどうしたの?まだ夏休みじゃないよね?」
「あー…えっと、椎の顔が見たくなったから!」
私、知ってるよ?
唯ちゃんが、何か隠し事がある時に目を泳がすこと。
何年唯ちゃんの妹やってると思ってるの。
ナメないでよね。
「また健さんと喧嘩したんでしょ。」
健さんっていうのは、唯ちゃんの1コ上の彼氏さんで、東京で唯ちゃんと同棲中なの。
ものすごくイケメンなんだ。
私にとってはお兄ちゃんみたいな人。
「えー!なんで椎にもバレるの?!お母さんにもバレたのに…。」
唯ちゃんってわかりやすいんだよね。
まあ、そこがかわいいんだけど。
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