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→⑤
次の日、私は柄にもなく早起きをした。
洗面所で顔を洗い、歯磨きをしていると、
「……椎?!あんたどうしたの!今日、雪降るんじゃないかしら…。」
お母さん、そんなに珍しいですか…。
今、6月ですよ…。
「早く代わってちょうだいよ。お母さん、朝ごはんの仕度しなきゃならないんだから。」
へいへい。
髪を整えてお母さんに洗面所を譲った。
「はい、お母さん。もういいよ。」
2階に上がり、自分の部屋で制服に着替えた。
化粧水をつけ、「よしっ、完璧!」と言って、気合いを入れた。
リビングに入ると、お父さんが新聞とコーヒーを手に持ちながら、口をポカーンと開けて私を見ていた。
「し、し、椎がこんな時間に着替え終わってるとは…!今日は吹雪だな…。」
吹雪に格上げされた…。
私だってたまには早起きするもん!
朝ごはんを喉に流し込み、私は家を出た。
「行ってきまーす!」
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