This is us



「離せ」


小田切の細い腕を掴んでいる手を見て、短く言う。


小刻みに震えている彼女は、今にも泣き出しそうだ。


「てめぇ誰だって聞いてんだよ」


言い終わらないうちに右ストレートが飛んできた。


「結城くん?!」



頬に強い痛みが走る。



「結城?お前が結城蓮か。そこらの女、総ナメしてるらしいじゃん」


男は醜い顔を歪ませて、くくっと喉を鳴らして笑った。


「だから?」


「邪魔すんじゃねえよ。女一人に構ってねぇで他当たれや」



俺って、馬鹿だな。


なつめや佐々木の言葉を今になって理解した。


こんな状態になって、初めて気付いた。



小田切が、特別なんだって…


小田切が、好きなんだって…


俺、情けねぇな…






「やめて!結城くんに手出さないで!」



殴られ続けた俺に、彼女の悲鳴に似た叫びが耳に残る。


「ほら、さっさと消えろ」

俺は手を振り上げた男の腹に、思い切りパンチを入れた。


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