This is us



全然見ていなかった…。


ステージ裏で控えている私達の前には、もう誰もいない。



「緊張するーっ」


「続きまして、二年三組のミス、ミスターです!」


「よし、育三」


ちょっと…北川くん、不意打ちの古いギャグで笑わせないで!!


北川くんは私の手を引いて、ステージへ走る。


スポットライトが煌々と降り注ぎ、目の前の光景に足がすくんだ。


すごい人…


体育館いっぱいにたくさんの生徒が詰まっていて、視線が私達に集中している。


クラスメートのナレーション二人が台詞を言って、それに合わせて私達は大袈裟に演技。


北川くんが考えた構成は、ギャグがふんだんに使われていて、観客はわっと盛り上がっていた。


「ありがとうございました〜!続いて…あ、二年四組なんですが…まだ準備ができていないとの事で…」



あ、結城くん達…

ステージ裏には来ていないみたいだ。


司会がたどたどしく五組へと進行している。


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