This is us

Side Satori




皆の心を一つにして、円陣を組んだ。

「せーの!」

部長の要ちゃんの高い声が響く。

パンと一度手拍子をしてから、それぞれ隣の子の肩をトントンと二回叩いた。

いつも大会前にこれをやって、気合いを入れている。

練習に練習を重ねて、あっという間にやってきた春の大会。何とか出場させてもらえるまでには立て直せた。

『焦るな、落ち着け』


先生が直前に私達に言ってくれた言葉を胸に、マットの上へと上がる。

しんとした張りつめた空気は、私達を最高潮に緊張させた。他校の生徒も、保護者も、皆マットに視線を集中させて。

それぞれの位置でポーズをとると、曲が流れ始めた。

盛大に始まる曲調に合わせて、大きく散っていく。すぐに初めの手具交換。
受け取りながら、ジャンプ。後ろに曲げた足が、しっかりと後頭部に当たらなければならない。
後輩たちが手拍子をして、リズムをとってくれている。

そのリズムに合わせて、私達も動いた。

今までこの瞬間の為に頑張ってきたんだ。

指先の先まで力を抜かずに、体全体で表現する。

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