This is us


「んな事より、お前はちゃんと家に帰ったら親父と仲直りしろよ?」

「あ…」


忘れていた。

「まさか忘れてたのか?」

「べっ別に忘れていたわけじゃ…」


お父さんはもう家に帰ってきているはずだ。
急に憂鬱になる。今まですごく楽しかった分、余計に。

「部活、ちゃんと続けられるように納得させるんだろ?」

「はい…」

自分で偉そうにそう結城くんに宣言したのに。
もう弱気になっている自分がいる。

「応援してっから…」

「うん、ありがと。じゃあ、さ…」


立ち止まって、もじもじと地面を見つめて。

キスして欲しいって、なかなか言い出せずに"えーっと"を繰り返した。

「…なに?」

「き、きききき…」

「は?」

「きっキスしてください!」


思いきってそう言った時、周りを歩いていた人達に一斉に注目された。


「声でかすぎ…」

結城くんは余裕たっぷりに笑っていて。

なんだか余計に恥ずかしく感じてしまう。


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