This is us


深い深い水色の空に、目を奪われる。


あまりにも綺麗な入道雲に、思わず手を伸ばしたくなる衝動に駆られた。


学校までの一本道を、久しぶりにゆっくり歩いていく。


「蓮ちゃん久しぶりぃ!結局部活一日も来なかったな〜?」


教室へ入るなり、佐々木が絡んできて。

あぁ、またこれから毎日こいつの顔を見なくちゃいけないのか…と心の中で思った。


「うるせぇよ、朝から」


「うむ、今日もご機嫌ななめですな」


『佐々木健吾退散っ』と叫びながら廊下へ飛び出して行った彼を、哀れな視線が包む。


「蓮くん久しぶりぃ」


「ねぇ、何でメール返してくれなかったの〜?」


「夏休み遊びたかったのにぃ」



たちまちクラスのギャルに囲まれて、深い溜息が出た。


机の中に置き去りにした筆記用具が、綺麗さっぱり盗まれているし。



「シャーペンと消しゴム貸してくれない?」


仕方なく女達に向けて口を開く。


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