This is us



「あっあたしの使って?」

「じゃあ消しゴムあたしの貸してあげるーぅ」


キャーキャー騒がしいんだよ、お前ら。


ピンクのハート柄のシャーペンに、半分にちぎった消しゴムが机に差し出される。


鼻を刺激する甘ったるい香水に、吐き気がした。



実力テストが終わり、がやがやと一斉に騒がしくなった教室。

俺もぐっと伸びをして、ふとドアに目をやる。


もう下校するのか、鞄を持って歩いていく生徒にジャージで走っていく生徒…


その中に、さっと小田切の横顔が見えて。


思わず立ち上がってしまった。


眉間にしわを寄せて、どこか凜とした横顔が脳内を掻き回す。


覗くように廊下へ顔を出すと、隣の五組のドアの前でキョロキョロしている姿があった。



なつめのクラス…


あぁ、相原か。



小田切が相原に会いに行ったと理解すると、何故か頭に血が上った気がした。


何やってんだ…あいつ。


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