☆ムーンチャイルド☆


『おウチに帰りたいよ…お母さん…』


友希の目には涙が溜まった。


『男の子が涙なんて、情けないわね』


突然、友希の耳に聞き覚えのある声が聞こえた。


友希は声のする方に目をやった。


すると、ドアの方にリンネの姿があった。


『君はお化け屋敷にいた…』


友希は名前を思いだそうとした。


『リンネよ。まさかあなたみたいな泣き虫で臆病者が選ばれるなんてね』


そう言って、リンネは呆れた表情を見せた。


『選ばれた?』


友希は涙を拭い首を傾げた。


『そう、この“MOON”と呼ばれる世界にあなたは導かれたのよ』


リンネはそう言って深く頷いた。


< 29 / 105 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop