グレーに染まる
「はい」
「あー…えっと。さっきの…」
「入れば?」
「し、失礼します」
そう言ってドアから顔を覗かせたのはさっきの男子生徒の片方だった
「コーヒー飲む?」
「…うん」
冷蔵庫からペットボトルを取り出してコップに注ぐとストローをさした
コースターの上にそれぞれコップを置いて私自身も彼の前に座った
「…まず学年クラス名前は?」
「…2年E組、深山竜也(ミヤマタツヤ)」
「ん。竜也でいい?」
「いいよ♪瑠香さんでいい?」
「私は別に何でも」
「了解〜」
「んで?…いきなり初日から来るとは私も思ってなかったんだけど?」
「え?…あー…うん」
「…先に言っとく。私は悩み聞き出してはいそうですか協力します、頑張ろう。なんてことはしないから」
「え?カウンセラーでしょ?」
「一応ね。だけどそんなことしてたって実際解決なんてしないし」
「じゃあ、瑠香さんは何してくれんの?」
「あんたその時点で間違ってる。私はあくまで補助」
「ほ…補助?」
「話聞くだけなんて誰でもできる。かと言って虐め助けたってその場しのぎ。どうすればいいのかを助言するだけ…その代わり、自分の意思で助けを求めれば私は全力で守ってやる」
「…」
「例えばの話ね」
「あぁ。…うん」
「それより竜也。あんたさ…疲れない?」
「…へ?」
「常に明るくて元気で。そんなキャラ造ってて疲れない?」
「…っ」
「私には猫被ってるように見えたけど?」
「…」
「…とりあえず、鍵開けとくから暇なら来ればいい。友達とでも1人でもいつでもどうぞ。慣れてきた頃にまた話聞くから」
「…サンキュ」
「ん。」