グレーに染まる
早いうちから悩みを聞き出しても、人間は肝心な所を無意識のうちに隠す
仲の良い友達や家族にさえ話さないのに簡単に聞き出せていたら、悩む人間なんて存在していないだろう
先生としてでも友達としてでもなく程よく距離を保ち必要以上の干渉はしない
あくまで他人として
近すぎると話づらい
かといって遠いと仮面を被る
どっち付かずの距離感が一番やりやすいのだ
その距離感を作れるのがこの外見なのかもしれない
だからこそ私もこの外見を直すつもりはない
「瑠香さんって先生っぽくないよね」
「うん、先生のつもりないし…あくまでカウンセラーだから」
「ふーん…てか見た目もあれだよね」
「…あれって何?」
「あ、いや、カウンセラーのわりに…てか女のわりに厳ついし」
「悪い?」
「いや、そうじゃなくて…なんつうか…クール?」
「…は?クール?」
「うん。普通カウンセラーってもっと優しそうなイメージっていうか」
「悪かったね見た目悪くて」
「いや、良い意味でね?無愛想だし怖そうだけど…媚びてなくて裏表無さそうってゆう」
「誰かに媚びたり自分を作ったりすんのが面倒くさいだけ。必要ない」
「…いいね。そうゆうの」