”ただ、愛されたかった…”

 「ごめ~ん、遅くなって。」

 居酒屋の外まで、圭の声が聞こえていた。かなり、盛り上がっている。


 「あれっ、美樹ちゃんって子は?」

 「ごめん、ちょっと調子悪いみたい…。又、次の機会…かな?」


 「な~んだ、俺、楽しみにしてたのに!瑠理だけかよ。」

 圭がわざと、すねた顔をしてる。

 「私だけじゃ、いけないのー。」

 瑠理もふざけて、圭に言い返す。

 少し、離れた所で、ゆかりが雄二と、ビールの一気飲みをしている。

 沙織は、あまり強い方でないから、酔っ払った顔をして、笑っている。


 「無理してない?美樹ちゃんの事。」

 瑠理の隣に座っていた茂が、そう聞いてきた。

 「…うん。ちょっと性格がまだ、把握できてないんだ…。」


 「あんまり、頑張りすぎるなよ。」

 
 「…ありがとう。」


 茂の言葉は、嬉しかった。


 「ねぇ、美樹ちゃんって、どんな子なの?」
< 116 / 207 >

この作品をシェア

pagetop