”ただ、愛されたかった…”
 「何、食べる?」

 メニューを開いてすぐに、茂が聞いてきた。

 「ちょっと待って…なんにしようかな~、決まった!トマトソースのパスタにする」

 「じゃ、俺も」

 茂は、メニューを見てない。

 「メニュー見ないの?」

 瑠理が聞くと、

 「あんまり、パスタ食べないから見てもわからない。一緒でいいよ。」

 二人は、同時に笑った。

 瑠理の為に、このお店を選んでくれたらしい…。そういう少しの事やっぱり嬉しい。

 幸せな時間だった。

 
 「あのさ~瑠理、俺と付き合わない?」

 茂が突然言った。軽い感じで言ってるけど、目は真剣だ。

 「…うそ…だって、彼女いるじゃん。」

 「別れたんだ。もう、半年位になる。」

 「どうして?うまくいってたじゃん。」

 瑠理の質問に、茂はすぐには、答えなかった…。

 ほんの少し沈黙が流れた…。

 瑠理は、茂の言葉を待っていた…。

 「…本当は、あまりうまくいってなかったんだ…付き合いが長くなりすぎて…。

 でも、俺は、こういうものだと思ってた。でも、あいつは、違った…。

 1年位前から、あいつ、他に付き合ってる男がいたんだ。それで、そいつの事が好き

 なんだって…。で、別れたんだ…。」

 茂は、彼女との事を話してくれた。

 「…大変だったんだね…。」

 「…そうでもないよ。俺だってそいつと付き合ってる頃から、

 瑠理の事、好きだったから…」

 「……。」

 瑠理は、返事ができない…。好きな人から、告白されてるのに…。
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