ゴシップ・ガーデン
「バラが心配だろうけど、
様子はちゃんとメールするから」


ヒオカ先生は、
あたしを安心させるように
微笑む。



「先生は夜までいるの?」


「うん、仕事もあるし」


「先生も危ないじゃん」



「夜には通り過ぎてるよ」

大丈夫、と軽い感じで笑った。




ほぼ同時に
フッと視界が暗くなった。


ビックリして
反射的に蛍光灯を見上げる。



「停電だ」



ブラインドの閉められた室内は
真っ暗になった。




雨が激しく窓に打ちつけて、
窓がガタガタと音を立てる。



思わず身をすくめて
ヒオカ先生の腕をつかんだ。



「すぐつくよ」


「…だよね」



ポンポンとあたしの頭を撫でた
ヒオカ先生を見上げた。




うす暗くて、
表情がうまく読み取れない。



目があたしに向いてるのだけは
はっきりわかる。



ヒオカ先生の手の平は、
あたしの髪をすべるように
肩に移動した。



あたしは
つかんだ腕に触れたまま、
無言で見つめ合った。



雨の音が
どんどん大きく感じられる。



触れて見つめ合ってると

目がくらみそうで、

手も目も離せなかった。



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