Sweet Life【Sweet Dentist短・中編集】
時刻は午後7時。

まだお客さんの残るお店を両親とバイトさんに任せて、あたしは仕事を早めにあがらせてもらった。

毎日遅くなっていたことにパパも罪悪感を感じていたらしくて、バレンタインぐらい早く帰ってやれと、むしろ追い出すように帰してくれた。

「響に営業妨害になるような視線で男性客を見るのは止めるように、くれぐれも伝えてくれ」

と、苦笑しながら…。

時々、お仕事の合間にあなたがお店の外からこっそりと様子を見に来てくれているのはあたしも気づいていた。

忙しくて話す事も触れることも出来ないけれど、優しく見守ってくれる視線がとても心地良くて、まるで抱きしめられているように幸せだった。

確かに男のお客さんにチョット怖い目で睨むのはやめて欲しいなあって思ったけど、それもあなたの愛情だと思うと何だかとっても嬉しかったりして…。

…ごめんねパパ。
ちゃんと響さんには機嫌のいいときを見計らって話しておくからね。

パパに心の中で謝って、響さんの為に作った特製チョコレートを持つと、はやる心を抑えて足早に彼の職場へと向かった。



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