亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
「―――」
アレクセイの表情からは、笑みなどすっかり消えていた。
………何なのだろう。……この………。
(………挟み撃ちにされている様な感じは……)
……高い玉座の老王よりも、両端のこの二人の方が………よっぽど偉そうで、小賢しくて…………厚い仮面を被っている。
………何ともまあ…不愉快だ。
「………お答えしようにも………出来ませんな。……この城内に、獰猛な我等と同等の猛獣は………恐らくいないでしょう…………それ以上も」
再び貼り付けた笑顔で、アレクセイは部屋を囲む兵士達をグルリと見回した。
………瞬間、刺す様な痛い視線が、あちらこちらから注がれた。
…背後に控えている使者の一人が、「……アレクセイ様…!」とやや慌てた様子で声を掛ける。
しかし、アレクセイはそれを知らぬ顔で聞き流した。
(………あああ、アレクセイ様…負けず嫌いなんですから)
(……もういい。好きな様にさせよう)
(………何が起こっても…自分はもう知りませんから)
背後で使者数人がヒソヒソと囁き合うのを尻目に、アレクセイは紳士の笑顔であり続けた。
「………戦術とは、魔術で言えば禁術や秘術に相当する大事なもので御座います。悲しい世の中ですが…戦術一つで、国は動きます。…………お見せする事は出来ませんな」
「…………あ、そう」
挑発紛いの発言と共に断固として拒否する老紳士。
………爽やかなアイラの笑みが、深くなった。
「…………残念だ。凄く残念だよ。…………………………なら…」
…アイラは前髪を後ろに掻き分け…………笑いながら、呟いた。