亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~



…急に現れ、急に抱えられ、しかしそのまま扉目指して走り続けているというこの状態に、一瞬…あれ?、と呆然としていたが……頭上から聞こえてきた突然の介入者の声に、レトは我に返った。








「ガキ二人、回収成功でありま―す!!…ああ…隊長がいたらこの喜び、もっと倍増しだったのに…。………あれぇ?なんか捕まえた中に女の子が一人増えてるんだけど―?」

「グダグダ言ってないで前見ろ、前前前前!!薄気味悪いエコーのバリケードだなおい!!」

「本当だ―。キモ―い」



…忙しく飛び交う、元気の良い声とやり場の無い怒気を含んだ男女の声。

…真横に目を移せば、同じく今の状態が分からずに呆然としたまま、ただ抱えられて揺れているドール。
…並んで少し離れて疾走するもう一人の人間は、これまた同じく突然の予想外の事態に固まっているユノを脇に抱えていた。

なんだか…つい最近、耳にした覚えがある様な二人の声の主を、レトはぼんやりと見上げた。



レトの視線が最初に捉えたのは、風に靡く長いオレンジ色のポニーテール。漆黒のマントに見慣れない衣服を着た女性。………見覚えもあるその人物がフェンネルの使いの女性…イブであることに、レトは数秒遅れて気が付いた。

「………貴女は…」


そう呟くと、両脇にレトとドールを抱えているイブが不意にこちらを見下ろしてきた。その途端………レトは目を丸くし、ドールは驚きのあまり声を漏らした。





「―――…目…目がっ……目が三つある…!?」

「やっだー、お嬢ちゃんあんまり、見・な・い・で―!」

いやーん、とか何とか恥じる乙女の様に可愛らしく言うイブだが、問題の注目されている額の第三の目は、子供二人をギョロギョロと凝視し続けているため、はっきり言って怖い。
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