亡國の孤城Ⅱ ~デイファレト・無人の玉座~
…今、この場はノアだけの舞台なのだろうか。
ノアにしか見えていないらしいスポットライトを浴びながら、両手を上げてノアは天に向かって絶叫する。
「―――…ああ、私、人と話していますよ。極普通に話していますよ。これは独り言ではないのですね。これって夢ではないのですね!素晴らしい!!実に素晴らしい!!私はここにいて貴方方がここにいる!!素晴らしい!!ああああ…この溢れる思いを、感動をどうしましょ!!どうしましょ!!とりあえず叫んでみますかヤッホォォォ―――――!!」
出来れば幻聴と思いたいが、たとえ幻聴でも耳にしたくない摩訶不思議な叫び声が、城内に虚しく響き渡る。
太陽の様に自ら無駄に輝きながら、ノアの叫びは暗闇の向こうに消えていった。
…リストは、深呼吸をした。
この、ノアとかいう生き物と会話をすることに覚悟を決める、ために。
また一歩、前へ踏み込もうとしたリストの背を、無表情のイブが軽く押した。
普段なら腹が立つイブの行動全ても、この時ばかりは何故か、妙に勇気付けられたような錯覚を覚えた。
…重傷だろうか。
内心、凄まじい緊張が張り詰めているリストの脆いグラスハート。
ある意味かつて無い強敵に、リストは挑むべく口を開いた。
「………そんなに他人と会話が出来るなら好都合だ。あんたに聞きたい事が…」
「うっわぁ。しかもよく見たら野獣フューラじゃないですか!こんなに近くで見るなんて一体何百年振りでしょうか、私ったら運が良い!しかも雄と雌の二匹!!しかも話してますね!!こんなに人間そっくりに化けてまぁ可愛いらしい―、はい、お手―」
「わー、殴りてぇ」