一緒

余裕なんかじゃなかった
俺を手放さない確実な方法だけを慶介は考えてた
それだけが嬉しい

ひとりで孤独なんじゃない
ふたりで孤独ならそれで幸せかもしれない

「慶介と一緒なら、たぶん幸せだな俺」

「俺と死んでくれるんだ?」

慶介の顔には、また穏やかな笑みが戻った




バチンっ!!!


俺の両手の手のひらと慶介の頬の間から、乾いた音が響いた

俺の手で挟み込まれた慶介の顔が、驚いて目の前の俺を見てる


目ぇ覚めた
―――なんかそんな感じだった

「バカ。違うよ
誰が死ぬんだよアホらしい」

「誠・・・え、だって」

「死なない。死んでたまっかこんなことぐらいで。二人で生きる方が幸せに決まってんじゃねーか」

言いながらまた泣けてきた
けど笑える
今日、やっと笑える

泣きながら笑うって器用なことしてる俺の手を頬から離して、不安そうな顔の慶介が俺の背中をさすりながら訊く

「・・・こんな事がこれから何回もあるぞ。イヤになって逃げないか?おまえ壊れないか?」
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