ツインの絆

「高杉さん… おはようございます。
高杉さんも応援ですか。」



孝輔にとっては高杉も、毎年春の祭りと、夏の花火には、
野崎に集り皆と団欒をしている人なのに、
個人的には話したことの無い存在だった。


が、広志は慣れた感じで話している。



「わしは審査員の一人だよ。が、前評判では大輔が有力だぞ。
新人戦だからほとんどが二年生、皆張り切っている。
団体戦でも西部高校、今年は何とか進みそうだ。
まあ大輔の功績だがな。」



と、毎週ではないが、高校が休みの土・日の夕方、
大輔が警察署の道場へ行き指導を受けている高杉、
満足そうな笑みを浮かべて広志に話している。



「はい、今年は珍しく上位に進めそうだと校長が喜んでいました。
だから僕も卒業生として応援です。」


「そうか、広志も西部高校だったな。
孝輔は珍しいじゃあないか。 スポーツにも目覚めたか。」



高杉は当然のように屈託無く、
隣に立っている孝輔にも声をかけている。


それは孫を見つめるような優しい目だ。


孝輔は戸惑う心を必死に隠しながら高杉を見て、



「大輔の応援です。この人は友達の坂上さんです。」



と、言葉短く返事をして春香を紹介した。


それだけで精一杯だった。




「大輔の奴、喜んで余計張り切るぞ。
あいつは強いから安心して見ていられる。」




高杉は微笑みながらそう言い残し、
審査員たちの控え室へと消えて行った。
< 184 / 205 >

この作品をシェア

pagetop