ツインの絆
自分が和也と同じ… そんな事はどう逆立ちしてもなれるものではない。
部屋は二階に三人並んであるが、
今までだってまともに話をしたことも無かった。
兄弟の中で一番距離のある存在のはずだ。
孝輔は慌てて否定した。が…
「いや、あると思う。孝輔は俺が優勝した、と分った時、
興奮して俺の傍まで来て、この湿布を張ってくれたのだよ。
その時、応援し過ぎて喉がからからになったって、嬉しそうな声で言ってた。
まるで和ちゃんのせりふでしょ。
剣道部の連中に囲まれているのにそんなことまで言っていた。
孝輔は自分で意識をしなければ和ちゃんのようになる、って事が分った。」
大輔は大発見をしたように、気持良さそうに笑いながら皆に話している。
孝輔は照れくさくて部屋に戻って隠れたかった.
「当たり前だ。お前たちは皆俺の子供だから、似ていても当然だ。
確かに孝輔は今までちょっと静かすぎたが…
それでもその分バイオリンの音で何かを言っていたのだ。
まあ、これから孝輔も一歩成長を遂げる。
が、孝輔、万が一、何かが起こったら隠し事は無しだぞ。
必ず俺や大輔、もしくは広志に相談するのだ。それだけは約束だ。」
父は自分の言葉で、父親らしく温かい気持を込めて孝輔に伝えている。
「はい。父さん、ありがとう。」
どんな雰囲気の学校かはわからないが、
とにかく自分で決めた事だから逃げないで頑張らなくては…
将来の事はゆっくり考えよう。
これからの毎日が挑戦だ。
孝輔は、自分の中に新しい自分が生まれているような不思議な気持を抱いたまま、家族の中に居場所を見出していた。