君に幸せの唄を奏でよう。
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「終わった!終わった!」
数学という名の地獄から解放された亮太は、心の底から安心した表情を浮かべる。
「「「お疲れ様」」」
「あの先生、いつもいつも俺の事をバカにしやがってっ!」
亮太は、悔しそうな顔をして文句を言う。確かに、あの先生は人をバカにしている。鈴木先生よりも嫌い。亮太の話を静かに聞いていた浩ちゃんが、真顔で静かに口を開いた。
「確かにそうだけど、亮太も亮太であの問題ぐらい解けなとヤバいよ」
でた……浩ちゃんの“真実のお告げ”!
「~出来ないものは、出来ないんだよ!」
心の傷をえぐられても、亮太は開き直り浩ちゃんに抗議をする。いつもの事だから、あたしと佳奈はほっといて話しをする。
「次、生物だから理科室に移動だね。実験楽しみだな」
佳奈が嬉しそうに言っているから言えないけど、実験は面倒くさいから好きじゃない。準備と後片付けがなかったら好きなのに……。
「しまった!教科書忘れた!」
突然、亮太が叫ぶから驚いて体がビクっとなった。
「隣のクラスに借りてきたら?」
隣のクラスなら、亮太と委員会で知り合って友達になった人が居るから借りやすいはず。
「そうだな。浩平、借りに行くから付いてきてくれ」
「いいよ。高橋達は、先に行ってて」
「分かった。佳奈行こ」
あたしと佳奈は、亮太達を残して先に理科室に向かう。