君に幸せの唄を奏でよう。
「ねぇ、今度の日曜日に遊ばない?」
最近いろいろとバタバタしてて、佳奈と遊べなかったから誘う。
「うん。あっ、買い物しても良いかな?」
「いいわよ。何買うの?」
「えーとね、ライブ用の服と私服を2着ぐらい買おっかなって思ってるの」
佳奈の言葉を聞いて、はっと我に返った。最近、服を買いに行ってなかったらライブ用の服がない。
「あたしも、ライブ用の服を買いに「そこの貴方、ちょっと待ちなさい」
突然、背後からあたしの言葉を遮る声が聞こえた。振り返ってみると、 髪を後ろに一つに束ねて赤い眼鏡をかけている。見た目からにして、年齢は30歳前後ぐらい。でも、全然知らない先生。
「佳奈、あの人誰?」
先生に気づかれないように、小声で佳奈に聞く。
「ほら、新しく来た宮沢先生だよ。この前、体育館で自己紹介してた人だよ?」
佳奈は、小声で答えてくれた。
この前の体育館、この前の体育館は確か……。
「作詞の事で頭いっぱいで、話聞いてなかったわ」
「唄希ちゃん…」
何故か、佳奈がガックリした表情であたしを見つめる。あたし達が会話をしているのをお構いなしで、宮沢先生が恐い顔をして向かってきた。
そして、あたし達の目の前に立つ。そして、何処か不服そうな目付きで、眉間に皺を寄せながら口を開く。
「あなた、髪染めているでしょ?」
久しぶりにその言葉を聞いて、心の中ではぁーと溜息をつく。もちろん、指摘されたのはあたし。
髪は、母親譲りで生まれつき茶髪。お母さんは、ハーフや外国人じゃないけど、地毛の茶髪。
この学校は、校則が厳しくて入学式の時に注意を受けたことがあった。だからこそ、頭髪届けを出しているけど、この人は知らないみたい。
注意するのはいいけど、せめて頭髪届けを出している人を確認して欲しい。面倒くさいけど、先生に説明しようとしたら、佳奈が間に入って庇ってくれた。
「先生待って下さい!高橋さんは、「染めていません」
佳奈の言葉をさえぎり、あたしは佳奈の前に出る。
「…染めてない?部活は入っているの?」
はぁ…。きっと、この先生は髪が傷んで茶髪になったんだと思ってる。本当、中学校から言われ続けたからうんざりする…。
「入っていません」
負けずに言い返す。だけど、先生は不満なのかさらに眉間に皺を寄せた。
「入ってないのに、その髪の色なの?」
まるで、嘘をついてるみたいな言い方をされて、あたしの中で何かがきれた。
「確かに私の髪は、普通の人とは違って茶髪です。でも、生まれつきなんです。それに、頭髪届けを出しています」
少し強い口調で説明したけど、先生の目はまだあたしを疑ってる。
「本当に?」
「本当です。先生、少しは生徒の言う事を信じたらどうですか?確かめもせずに、決めつけるのはよくないと思います」
「なッ!あなた先生に対して-!」
先生は、あたしの言葉が気に入らなかったみたいで、顔を真っ赤にして怒る。
「私達は、次の授業がありますので失礼します。行こう佳奈」
「先生、失礼します」
先生に軽くお辞儀をして、佳奈の手を引きながら理科室へと向かった。