君に幸せの唄を奏でよう。
「よ、よし、食べたことだし浩ちゃんの家に戻って練習練習~!」
「完全に棒読みだぞ」
「生まれつきこんな喋り方なのよっ!」
「ウソつけッ!生まれつき棒読みってどんなんだよッ!?」
亮太の鋭いツッコミが、入ってきた。
これ以上、墓穴を掘るわけにはいかないわ!こうなったら先手必勝!
「1抜け--ブッ!」
先に店を出ようとして、人とぶつかってしまった。
「大丈夫か?!」
亮太が、心配そうに言ってきた。
「あたしは、大丈夫よ」
今は、ぶつかった人に謝らなくちゃ。
「ごめんなさい。あたしがよそ見をしてたから。大丈夫ですか-」
「唄ちゃん?」
ぶつかった相手が、草野さんだったので驚いた。
「草野さん!」
「高橋の知り合い?」
浩ちゃんが、聞いてきた。
「この人は、橘 奏の先輩で草野 淳司さん」
皆に草野さんを紹介した。
「初めまして。よろしくね」
草野さんが、挨拶をしてくれた。
「今日は、ひとりなんですか?」
「いや、友達と待ち合わせしてるんだ」
よかった…橘 奏は、居ない。ここで会ったら、気まずいどころじゃないし。
「橘が、居ないから残念がってる?ごめんね。今日は、一緒じゃないんだ」
「ち、違います!残念がっていませんっ!」
あたし、そんな顔してた?!