君に幸せの唄を奏でよう。



「よ、よし、食べたことだし浩ちゃんの家に戻って練習練習~!」
「完全に棒読みだぞ」
「生まれつきこんな喋り方なのよっ!」
「ウソつけッ!生まれつき棒読みってどんなんだよッ!?」

亮太の鋭いツッコミが、入ってきた。

これ以上、墓穴を掘るわけにはいかないわ!こうなったら先手必勝!

「1抜け--ブッ!」

先に店を出ようとして、人とぶつかってしまった。

「大丈夫か?!」

亮太が、心配そうに言ってきた。

「あたしは、大丈夫よ」

今は、ぶつかった人に謝らなくちゃ。

「ごめんなさい。あたしがよそ見をしてたから。大丈夫ですか-」
「唄ちゃん?」

ぶつかった相手が、草野さんだったので驚いた。

「草野さん!」
「高橋の知り合い?」

浩ちゃんが、聞いてきた。

「この人は、橘 奏の先輩で草野 淳司さん」

皆に草野さんを紹介した。

「初めまして。よろしくね」

草野さんが、挨拶をしてくれた。

「今日は、ひとりなんですか?」
「いや、友達と待ち合わせしてるんだ」

よかった…橘 奏は、居ない。ここで会ったら、気まずいどころじゃないし。

「橘が、居ないから残念がってる?ごめんね。今日は、一緒じゃないんだ」
「ち、違います!残念がっていませんっ!」

あたし、そんな顔してた?!



< 141 / 284 >

この作品をシェア

pagetop