君に幸せの唄を奏でよう。



「違います。あれは「こっちには証拠があるの。昨日、あんたが佐藤君から付き合ってって告白されてるのを見た子がいるんだから」


なんで、そこだけしか見てないの?!その後、あんな酷い事言ってたから、どう考えても告白に繋がらないでしょ!てか、その子タイミング良すぎッ!どうせなら、最後まで見られてた方が良かった!


と心の中で叫んでいたら、ギャルぽっいメイクをしている先輩が、あたしを睨み付けながら口を開く。


「しかも、委員会の手伝いをしてもらうために、わざわざ佐藤くんを指名したんでしょ?よほど、自分が告白される自信があったんだ。あんた何様?」


やっぱり、バレてたか……。だけど、それがどうして告白に繋がるの?!なんで、告白させる為に佐藤先輩を呼び出さないといけないのよ!普通、逆でしょ!


「確かに、先生にお願いをしました。だけど、それは佐藤先輩が環境委員長なので、分からない所を教えてもらいたかっただけなんです。なので、あたしは佐藤先輩を恋愛感情では見ていません」


本当は違うけど、これ以上先輩たちを刺激しない為にも、あらかじめ用意をしていた理由を言う。でも、佐藤先輩に対して恋愛感情を持っていないのは本当。


「そう言って、佐藤くんを狙ってたんでしょ?佐藤くんが優しい性格なのを知って、そこにつけ込んだんでしょ?!性格悪ッ!」


「だから、違いますっ!」


「嘘をつくなよッ!マジきしょいんだけどッ!」


ダメだ。もう、この人達に何を言っても信じてもらえない……。


あたしの言っている事が、何故通じないのか理由が分かり諦めに似た絶望を感じる。


この人達は、佐藤先輩の本当の素顔を知らない。だから、そうやって言えるんだ。佐藤先輩って凄いね……。いとも簡単に人を騙せれるんだ。怒りを通り越して、呆れて感心をしてしまう。


「お前のその態度マジむかつく!いい加減にしろよな!」


その言葉と同時に、ぐいっと制服の襟元を掴まれてしまった。逃げようともがいて、先輩の腕を振りほどこうとするけどびくともしない。それどころか、どんどん力が強まる。そのせいで、息苦しくなって気持ち悪い。だけど、負けじと声を出す。


「いい加減にしてください!もとはと言えば、佐藤先輩が---!!」


その時、脳裏にある言葉がリピートの様に繰り返された。


『この事は誰にも言わないでね。もし言ったら、あいつに掛け合ってあげないし、高橋ちゃんの見えない所で、別の誰かに酷いイジメをしてもらうよ』


その言葉を思い出して、抵抗していた腕の力が弱まっていく。


ダメ。言っちゃダメ。佐藤先輩が、何処で見張っているのか分からない。もし、言ってしまったら、浩ちゃんが……!



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