君に幸せの唄を奏でよう。
一方、状況が飲み込めていない亮太は、はぁ?!と驚いて声を上げた。そして、何か考え込む表情をしてから---。
告白されたのかよッ?!と、詰め寄るように聞いてきた。
どうしよ……!先輩達に誤解させられちゃった…!もうこうなったら、振り切るしかない---!
「言わせていただきますが、あたしは告白されていません!」
信じてもらえなくても言わないとダメ。だって、このままじゃ何も解決出来ない。
すると亮太は、はぁ?!とあたしの発言を聞いてさらに混乱をしてた。
だよね……。もし、あたしが亮太の立場だったら混乱すると思う。
そして先輩達は、さらにキレてしまった。
「はぁ?!佐藤くんがあんたに告白しているのを見た子がいるのよ!」
見られていたのは、分かってる。だけど、それは……あーもう!ややこしい!
同じ説明を何度もするのが、面倒くさくなってきた。
「あれは、先輩の冗談ですよ!」
そう。人として最低な冗談を言った。浩ちゃんとあたしをバカにして、からかって遊んだ。絶対に許さない。
「はぁ?!あんたそんなんで誤魔化せれると思ってるの?!」
「だから、冗談なんですって!あたしは、からかわれただけなんです!」
ごまかすも何も、本当のことしか言っていない。本当は大人しくしていようと思ったのに、亮太を巻き込んだ以上引き下がるわけにはいかなくなった。
どうやって、この場を切り抜くか考えないと。いっそうのこと、あたしが囮になって亮太に逃げてもらえば……って、考えていたら。
「行くぞ!」
「ちょっ!待ちなさい」
突然、亮太があたしの手首を掴んで走り出す。先輩達の声は聞こえていたけど、振り返らず亮太と一緒に走って逃げる事にした。
あたし達は、全力で走って1年生専用の玄関に着いた。そのせいで、互いに息が上がって乱れた呼吸を整える。
「唄、大丈夫か?!」
すぐさま亮太は、くるっとあたしの方に振り向いて、心配した表情で気遣ってくれた。