《完》極上☆SWEETS!!② 〜蜜色の凱旋門〜
『なーんだ』って独り言みたいに
呟くと。

ブレンドコーヒーを一口飲んで
から、まるで世間話でもする
みたいな口調で、言った。


「あの人、うちの副社長の奥さん
なんだ」




―――――え?




そ、それって………!!?




「ちなみに副社長ってのは社長の
息子ね。

説明会のときにも言ってただろ、
うちってキホン親族会社だって」



のんびりした声で説明を加える
矢崎さん。


てか、なんでこの人、のんきに
そんな話しちゃってんの?


つまり……それって、不倫って
ことじゃない!


しかも副社長の嫁を横取り!?


もしバレたら一体どんなことに
なるか


口止めとか弱みって言ってた理由
は、ようやくわかったけど。

今度はこんなこと笑顔で話してる
矢崎さんの神経を疑っちゃう。



「な、なんでそんなこと、あたし
に話すんですか?」


「だって、見られちゃったし。

何も知らないで桐生クンとかに
話されるよりは、ちゃんと口止め
しといた方がいいだろ?」
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