《完》極上☆SWEETS!!② 〜蜜色の凱旋門〜
「お、亜莉紗、おつかれー。

ちょい来てみろ、今――、」


偶然顔を上げた爽介に声をかけ
られて、あたしはすごくぎこち
ない動きで立ち止まった。


――ダメよ亜莉紗。


爽介には気づかれちゃダメ。


今、爽介は集中しなくちゃいけ
ないときなのに、こんなこと
なんかで邪魔しちゃいけない。




『ナニ?』ってフツーに返事して
、厨房に歩み寄ろうと思った。



……でも、できない。



なんでもない顔も、笑顔も、
とてもじゃないけど作れそうに
なかった。



「ゴメン。

今日はちょっと、帰る……!」



半分かすれた声でそう言うと、
爽介の顔も見ないで駆け出す。
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