秘 め ご と 。


「…嫌なら、今すぐ帰んな」


正直すぐ、帰ると思った。


「わ、かりました…。」



女が頷きソファーに座る俺の上に跨がり、上着に手をかける。


まじかよ…。と思いながら押し返そうとしない俺もいて。


それは、今まで一回も妬いてくれない片桐がこの噂を耳にして、

少しでも妬いてくれるんではないかと思ったからだった。



俺のネクタイも外して、ブラウスを半分まで開けられた所で、俺は口を開く。



「…お前は、これを想い出にしたいだろうけど。俺にとっては、想い出にすらなんねえよ」



「……っ!」



女は、堪え切れなくなったのか涙を流しながら勢いよく立ち上がり

扉も閉めずに出て行った。


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