好きだから、涙が出る
聞いてみようか。


一瞬、そんな考えが頭をよぎった。

でも、なんて?


あたしのこと、どう思ってる?


それではミキがキョウタを好きみたいにきこえてしまう。
そんな恋愛がからんでくるムードにはしたくない。

あたしは、このままがいい。
あたしの一言でなにかが変わっちゃうのなら、聞くのはやめようか。


どうやってきいたら自然なのだろうか。


「もう九月かー、はやいもんだな。こないだ3年になったばっかだったのにな」

キョウタが呟いた。


うん、そうだね。

心の中ではこたえてえいる。
でも、すんなり声に出てこない。


口をひらけばミキの「ききたいこと」が嫌な感じででてしまう気がした。

まだあいまいで、言葉が整っていない。
そんなときに口から言葉が出てしまったら、あたしの期待していないムードになってしまう気がする。



ミキは何も言わずに黙り込んで考えていた。



「あ、そういえばさ。そろそろこのままじゃやばいよな。俺ら、どうにかしなきゃ」
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