幸せよりも欲しいものは何ですか?
家に着いたのが6時45分。

私はすぐにご飯の支度をして

愛結はテレビを見ていた。

まさか春樹と一緒に暮らす日が来るなんて…



春樹



早く会いたい



ちょうど5年前

私達が春出会って
1回目の夏を迎えた時



私は初めて春樹に手料理を披露した。


その時に作った生姜焼き。


簡単な家庭料理だったけど


凄く美味しいと


何度も褒めてくれて


何度も

『またお前の生姜焼きを食べたい』

と求めてきた。

『この前、定食屋で生姜焼き頼んだけど不味かったぞっ!
やっぱりお前のが良い。』


そして


だし汁を使って
卵焼きも焼いた。


『お前の卵焼き、甘さ控えめでちょうど良いわ。あの居酒屋の卵焼きなんて甘すぎて食えねぇ!』


そして、お芋を大きめに形残したポテトサラダ


『俺、ポテトサラダ嫌いなんだけどさ…これ美味しいわ。
あの芋の形残さず潰したの大嫌いなんだよ。
お前のように、このくらい芋の形残したのなら美味しいもんだな。』



全部

ちょうど5年前に

初めて手料理を披露したメニューと同じもの。

1つ1つの料理を

嬉しすぎるくらいの言葉で

褒めてくれた。



またあの時の2人に


喧嘩もしてない
妬みのない

純粋な気持ちで春樹を愛した

あの頃に戻れるように、と



私は特別な想いをこめて

この日キッチンに立った。

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