幸せよりも欲しいものは何ですか?
朝…

私の方が先に目を覚ました。

春樹は体を正面に向けて寝てる。
私はその寝顔を眺めた後、春樹に背を向けた。


頭の中で色んな考えが浮かぶ。

春樹は私に何を求めて一緒にいるんだろう。

この先の未来をどう描いてるんだろう。




その時急に私は、大きな腕に包まれた。



春樹が後ろから私を抱き締めていた。



「…。」


私は春樹の手をそっと握ってみた。



「…!」


ギュッと握り返された。


『なしたのよ?』


後ろから低い声が聞こえた。


「…ぁ、起きた?」

『何かあったのか?』



そんなに私の様子が変だったのかな。


昨日の話をするべきなのかな?



「ううん、何もないよ?」



温泉旅行だから、嫌な空気にしたくないから、私は何も話さない。

いや、旅行じゃなくたって言えなかったと思う。


『じゃあ何でそっち向いてんのよ?』



私が春樹の方に向きを変えると、ギュッと強く抱かれ、私達は無言だった。



こうして春樹の腕の中にいる時間がとても幸せなの。

私からこの時間を壊したくない。



言いたくない。


責めたくない。


でも



真実を知りたい。


春樹…



どんな真実であっても、
私は変わらず春樹を愛するよ。

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