きみの腕の中で
「確かに関係ねえけどよ てめえらみてえな端から見てても理不尽なことやってる奴ら見てて吐き気すんだよ。」
「……」
「俺の視界に入るところで目障りなことやってるやつらがいたから口挟んだ。なんか文句あるか?」
彼の言葉に、反対をするものはひとりもいなかった。
助けられてる側の私が言えることじゃないけど、「俺の視界に入るところで」からの言葉を聞くとどれだけ俺様な理由なんだって正直思った。
他にもそう思った人はいるんじゃないかって目だけキョロキョロさせみたりした。
けど、“ミツキ”だから許される言葉なんだって納得もしてた。
「おいワタルだかミツルだか」
彼によって作られた緊迫した空気が、彼によって壊された瞬間だった。
彼の呼ぶ、“ワタル”も“ミツル”もここにはいないらしく、誰と間違えて言ってんだ…?とこの場にいる彼以外の人間全員がキョトンとした。
そんな中で、唯一彼以外にも“ワタル”だか“ミツル”にあたる人物が誰なのかわかる人間がいたらしくて…
「“テツ”だよ。“ワタル”と“ミツル”にかすってもねえよ」
と苦笑いをしたのはあのソフトモヒカンの男だった。