きみの腕の中で


「なあ?満月」

「…あー?」

「だから、この子が女に僻まれる理由だよ」


みんなが立っている中でひとりだけしゃがみ込んでいる“ミツキ”は声をかけられ、傾けがちに彼にとって右前にいるソフトモヒカンの男へ顔を上げる。


「理由だあ?」


そう言って今度は正面にいる私を見上げる。

見上げてくる“ミツキ”と目が合って


……へえ。
男でも上目づかいってすげえ発揮するんだ?



なんて思わず感心しちゃったりしたのは死んでも口に出せないけど。


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