きみの腕の中で


テツが“アカリ”をかついで去っていく。
その後ろから、他の“アカリ”の仲間も続いてあっという間に私と“ミツキ”とその仲間だけになった。


自分の出番なんかなく、ぼけっと見てるだけだった私は、

どうに動けばいいかわからず“ミツキ”が何か言葉を発するのを待つか、「ありがとう」と一言言って足早に帰ろうか…と候補をあげてみる。


「……」

「……」


“ミツキ”の仲間でさえ、“ミツキ”がどう動くのかをうかがってるっていうのに

当の本人は煙草をくわえて自由奔放に座りこんじゃっている。


……このマイペースさ。


このままでいても拉致が明かないと察した私が、2つあげた候補の後者を実行しようと決心したのと同時だった


「まあ、女に僻まれんのもわかるわ」




まるで“ミツキ”の代わりに締めようとソフトモヒカンの男が私に呆れ笑いを見せた。

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