CHERRY
○1粒●
あれから2年、私とキミは高校生になった。

今日は私とキミが通う豊野学院の入学式。

遅刻厳禁!な入学式。←イメージ

10分後には家を出ないと確実に遅刻をするらしい。(キミ情報)

なのに私とキミはまだ私の家にいる。

「柚紀<ゆずき>…まだ?」

私は夏川柚紀<なつかわ ゆずき>、キミは―……

「由<ゆう>、ちょっと待って…!か、髪が…」

野村由<のむら ゆう>

「…俺がやってあげようか?」

「だ、大丈夫!…あと少しだから…」

そう言いながら私はお団子を作る。

「…どこがあと少しなんだよ…」

と口にする由。

私の髪型は猫っ毛のセミロング。中学の時は巻いていた。
けれどイメチェンしようと高校からはお団子で行こうと思った矢先にこれ。
私は誰もが驚くほどの不器用女。

出来たっ…!そう思って鏡を見ると…

「…か、完成…だよね?」

「いや、これはどう見たって完成じゃないだろ…」

由の言う通り、あと少しどころか、完成より遠ざかっている。
あちこちから髪がピョンピョン出ているし…、これはお団子じゃなくて…

「…言葉に表せねぇーよ、これ」

「…ですよね」

まぁ…、とにかく凄いことになっていた。

はぁ…と溜め息をつく。すると

「だから俺がやろうかって言ったじゃん」

と飽きれた様子で由に言われた。

そして、はい、と手を出す、由。

その手にくしとゴムを渡す。

「じゃあよろしくお願いします……」

「ん」

そう短く返事をすると笑顔で私の髪いじくる。

「由って私の髪弄ってる時楽しそうだよね」

「ん?そんな事な、あ゙ー!!!!」

「はぁ?!由、どーしたの?!?!」

いきなり大声を出した由にびっくりし、振り返ると怒りMAXの由がいた。

「ゆ、ゆう…?どーしたの…?」

由をあまり刺激しない様聞く。

「柚さ、昨日髪乾かした?」

由はニッコリと笑って私に尋ねる。

勿論、その質問に私は

「あぁっ!!!」

「だよなぁ~?ちゃんと乾かしてたらこんな風にゴム取りにくく無いもんなぁ~?」

そう言われて鏡を見ると髪とゴムが私の頭でひっちゃかめっちゃかになっていた。

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