傷の行方
帰りの電車の中での記憶があまりない


何を見ていたのか


何を考えていたのか


また私の中のもうひとりの私が


暴れだしたことは確かだった


誰にも止めることができない


私はいつも


こういうことを言ったり


暴力に関わると


罪悪感から手首を切って


「生きるか死ぬか」


「やるかやられるか」


そういう気持ちになってしまう


その日は刃物類は隠して


手首にリストバンドをして


無意識の中でも自分を傷つけないように


横になった


翌日からの現場の仕事をこなす


たったそれだけのことだ




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