Quiet Christmas.
息を呑んだ彼は、驚いたように目を見開いて亜利哀を見る。
その想定外の言葉に。
一方、亜利哀はそんな彼に目もくれない。
ただ行き交う人々を見ながら、ヒールの高い靴を無造作に脱ぎ捨てた脚を抱く。
亜利哀が篠原家の一人娘なのだから、見合いの話が来るのは当然だ。
いまいち実感が湧かない…だなんて言っていられない。
その見合いの話は、当主であり社長である…つまり亜利哀の父親も通された話。
ふざけた噂や当人がアピールしてくるモノとは訳が違った。