桜ノ籠 -サクラノカゴ-
瞼をとじてカズ兄のぬくもりを感じる。
静かな時が、
流れる。
静かな時の中、
外で吹く風が強くなってきた音だけが、私達を包んだ。
「…じゃあ、行ってくる…」
離れた唇から、零れるカズ兄の言葉。
近く、
近くに見える、カズ兄の表情。
こんなに近づくことができるとは、思わなかった。
でも、
行ってしまう。
私から離れて、
行ってしまう…。
「そんな顔すんな」
カズ兄が、私の表情を見て呟き、
コツン、
と、私の額にカズ兄の額をくっつけた。
きっと、
私はひどい顔をしている。
寂しくて
哀しくて
愛しくて
涙でぐしゃぐしゃになってる、そんな顔。