桜ノ籠 -サクラノカゴ-
目を閉じると、
鮮明に思い出すその光景に、
体が震えた。
すると、
ふわ、
優しく、私を抱き寄せる腕。
香る、煙草の匂い。
何も言わず、
青磁先生は私を包んでくれた。
強張り、震えていた体が、
少しずつ、
少しずつ、ほぐれてゆく。
包んでくれる腕が、
青磁先生の優しさを思い出させてくれる。
憶えのある煙草の残り香が、
カズ兄の笑顔を思い出させてくれる。
一人じゃないと、
思い出させてくれる。