桜ノ籠 -サクラノカゴ-
カズ兄に伝えた想いを。
カズ兄が急いだ、
その理由が私にあるとしてもーー
問いかける私の声も震えた。
怖くないわけがない。
許されるとは、思わない。
自分自身、
私を許せないのだからーー
「……許せない」
小さく呟く、瑛李香さんの声。
「許せないわ。……だって、私の大好きな人は、あなたが好きだと、
そう、言ったんだから」
そう呟く瑛李香さんは、
哀しそうに微笑んだ。
その瞬間、
細めた目から、また一雫涙が流れる。
その目は、
あの黒い服の日とは違う、
穏やかで優しい目をしていた。