桜ノ籠 -サクラノカゴ-

 ♦


満ちた月の光が輝く夜、
青磁と茜は、葉桜を前に、杯(さかずき)を掲げた。


「伽羅ちゃん、よかった……」

杯の透明で綺麗な酒を飲み、茜は優しく、小さく呟いた。



「笑顔で学校から帰って来て〝行ってよかった〟
そう、話してくれたわ」


「少し前まで、ここで横になって、桜を眺めるだけだった伽羅ちゃんが、学校に行く様になるなんて……
嬉しくて、泣けてきそう……」


「茜姉も、頑張ったな」

静かに杯に視線を落とし、青磁が呟く。



「な、……どうしたの、青磁? 急に、そんな事言うなんて……」

「いや、素直にそう思ったから、さ」




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