桜ノ籠 -サクラノカゴ-

薫る風


「伽羅ー、帰ろうー!」

教室で帰る支度をしていると、ちょうど咲耶ちゃんの声が、廊下から聞こえて来た。

「うん、ちょっと待ってて、今用意終わるから」

教室に入って来た咲耶ちゃんの方を向くと、


「伽羅ちゃん、咲耶、また明日ねーっ」

「じゃあねー、咲耶ちゃん、伽羅ちゃん」


次々と声をかけられ、みんな教室を後にする。

私と咲耶ちゃんは、その声に答え、手を振った。


「さて、私達も行こっか。伽羅」

「うん、」

そう答え、椅子から立ち上がると、



ひらり


制服の藍色のスカートから、
桜色のしおりが一枚、落ちた。






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