冬の日の犬のお話
『…そうか、出会っちまったんだな。出会っちまったから仕方ねえんだな。あああついてねえ…』


獣医は、ため息をついて立ち上がった。


『流しの下のバケツ持ってこい。こいつの腹から水を抜く。』


真樹子は言われた通りにした。
ついてないと嘆いたはずの獣医が、なんだか愉しげに見えるのをいぶかりながら…


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